海外でポスドクをする場合、家族は大変なんだろうか
旦那が「海外でポスドクをしたい」って言うけど子供たちの生活はどうるのかしら?
研究者家族のリアルを知りたい人も読んでね!
海外で研究者として働くことにあこがれを持つ人は少なくないでしょう。
ストレスの少ない海外の研究所で好きな研究に打ち込みながら自分の可能性を広げるのは研究者にとっては夢かもしれません。
けれども、ポスドクという不安定な立場で海外で働くということが配偶者や子どもにどんな影響を与えるのか、気になりませんか?
この記事を読むとこんなことが分かります
- 海外でポスドクとして働くということは家族的にOKか?
- 海外でポスドクをする場合の家族のデメリット
この記事を書いている私は、ポスドク研究者の旦那と子どもとフランスで4年間生活をしています。
今回は、ポスドク研究者の家族という視点で感じたデメリットを正直に伝えていくので、将来海外で働きたいという研究者の方はこの記事を参考にした上でよーく考えてください。
海外で研究者(ポスドク)として働くのって家族的にOKなの?
大学や大学院で専門の勉強をしている人の中には「海外で研究者になりたい」という夢を持っている人もいるでしょう。
常勤研究者であれば地位も生活も安定するので、海外でも落ち着いて暮らすことができます。
(もちろん苦労はあります)
一方、任期雇用のポスドク研究者が海外に家族を連れていく場合安定した生活を送ることはとても難しいです。
壊れた車に乗ってるような感覚!
そ・・そんなぁ
フランスで研究者(ポスドク)をしている旦那の背景
目覚ましもかけずに、起きた時間に仕事に出かける自由人な旦那の背景は以下の通りです。
雨が強い日は家で働くこともあるで~
日本の大学院を卒業→外資系企業で7年勤務→カナダの大学で修士・博士を修了。その後フランスの研究機関(大学内)でポスドクの仕事が決まり、現在フランス滞在4年目。
仕事が決まったのは博士課程最後の年の春。その年の秋にフランスに移動しました。
カナダを離れたくなくて、フランス移動が決まった時は悲しかった~
※ポスドク(博士研究員)って何?
ポスドクとは、大学で博士号を取った後に任期制の仕事に就いている研究者・ポストを表す言葉です。(英語:Postdoctoral Researcher)
常勤の研究者とは違い、非正規雇用なので立場が不安定なのが特徴です。
1つの職場で最長5年までしか働けないから
来年には次の職探しやわ~・・へへっ
海外で研究者(ポスドク)として働くのは、家族的にOKか?
ポスドク研究者が家族を連れて海外で働く場合、家族のカタチによってリスクが変わります。
(※あくまでも私の主観です)
✔ 子供がいなければOK
✔ 子供がいたら、一旦落ち着いて考えよう
✔ 配偶者が「NO」と言ったら説得せずに諦めよう
―子供がいなければOK
研究者が配偶者と2人で海外暮らしをすることには、ほとんど問題は無いと言えるでしょう。
ポスドク研究者の給料は高くないので、生活は楽ではありませんが、研究者の家族用のビザは就労可能な場合もあるので、生活に慣れてきたら配偶者も仕事探しをすることができます。
奥さんも働けたら現地の人との繋がりもできるし楽しそうだなぁ
休みの日は観光したり、新しいレストラン開拓するのも楽しそう
―子供がいたら・・一旦落ち着いて考えよう
ポスドク研究者の契約は2年前後のことが多く、最長でも5年しか滞在できません。
滞在する国によっては新しい言語圏で暮らすことにもなります。
研究者本人は英語で生活できるので問題はありませんが、お子さんは現地の学校に行かなくてはなりません。
両親がその国の言語を知らない場合、お子さんが学校で言葉が分からず辛い思いをしても助けてあげることはできません。
日本語学校やインターナショナルスクールに入れるという選択肢もありますが、給料の低いポスドク研究者の場合は現実的ではありません。
そもそも研究施設の近くに日本語学校とか無いし・・
子連れのポスドク海外生活は、お子さんの年齢によっては「やや難あり」と思っておく方が良いでしょう。
赤ちゃんとか、未就学児までならあんまり問題ないかな?
医療面で安心して暮らせそうな地域ならいいかも!
―配偶者が「NO」と言ったら説得せずに諦めよう
研究者にとっては契約内容が良い条件であっても、配偶者が海外に行くことに積極的でない場合は、海外行きを諦めましょう。
海外生活は大変なことも多いので、家族で協力し合う必要があります。
そのため、出発前から配偶者が反対しているようであれば到着後に次々と起こるトラブルに対処できるとは思えません。(トラブルは日常茶飯事です)
行ったらなんとかなるってもんでもないのね
ならないならない!
状況次第では、海外志向の人であっても、国内の研究施設で仕事をしながらポスドク以上のポジションの求人が出るのを待つのも良いかもしれません。
研究者(ポスドク)家族の海外生活デメリット5つ【体験談含む】
ここからはポスドク研究者の家族が海外生活をするデメリットを具体的に挙げていきます。
フフフ・・どんどんいくよ~~🎵
やめてやめて!夢を壊さないで~
その1、定住できないので落ち着かない
- 2年/3年ごとに契約更新をするので落ち着かない
- 現地社会に積極的になじもうと思えない
- 友達ができても離れるのが前提なので寂しい
海外の駐在員や国内の転勤族の人たちにも共通する感覚かもしれませんが、ポスドク研究者は2~5年しか同じ場所で働くことができないので、落ち着いて暮らすことができません。
駐在員の家族の場合は、現地の先輩家族にフォローをしてもらってコミュニティに入ることが多いようですが、研究職にはそういった「日本人のコミュニティ」が無いため、自分から積極的に輪の中に入らなければ孤立してしまいます。
また、2年程度しか暮らさないのが前提なので積極的に現地のコミュニティに混ざる気も起きにくいのが現実です。
どうせ2年くらいしか暮らさないしって思うとね・・💦
ま、コミュニティに入らないのは、楽だけどね(笑)
そして、現地で友達ができた場合でも、別れることが前提になってしまうので、仲良くなればなるほど後に来る「別れの辛さ」がありジレンマがあります。
旦那はまったくそういった感情が無いので問題ありませんが、子供と私は友達関係もあるので別れを考えると辛くなります。
カナダを離れる時は友達も多かったし、本当に辛かった・・
ワシはぜんぜん寂しくなかったで~
アナタは友達が全然いないタイプだからね!
その2,将来への展望が見えないので不安
- 数年後のことを考えると怖くなる
- 「脱ポスドク」を狙っていても将来は明るくはない
これは国内でポスドクをしている人&家族にも当てはまることでしょう。
任期雇用の研究者を続けている限り、将来の安定性はゼロです。
期間内は仕事もあり、給料も貰えますが、契約期間が終わる前に次の仕事を探さなければなりません。
契約更新されたど~!あと2年はフランスやわ~
・・コイツ、気楽だなぁ・・その後どうなるんだよ❓
契約更新がされたらホッとする反面、契約終了後の仕事先を探さなくてはならないため、研究者にとっても家族にとってもとてもストレスのたまる環境です。
正規雇用をしてもらえない限り、生活は一生不安定です。
心配性な人であればストレスで病気になってしまうので「明日は明日の風が吹く」くらいの気持ちで生きていくしかないのが現実です。
次の仕事が見つからないけど心配かって?
んなこと考えても仕方ないじゃん!
家族の気持ちとかぜんぜん想像できないヤツ~💦
その3,とにかく貧乏
- 論文が雑誌に載ったところで1円にもならない
- 学歴と年収のギャップが大きすぎて考えたら病む
- 日本にいる同年代の人との生活との差が大きすぎる
「研究者はビンボー」ってイメージありませんか?
残念ながらポスドクに限って言えば、そのイメージは当たっています。
大学教授やメーカーの研究者は給料けっこう高いよねぇ?
フランスで働いている旦那の給料は、フランスでは「人並み」であって決して「底辺の給料」ではありません。
けれども社会保障や税金、家賃の負担は大きく、それらを払うと残るお金はほとんどありません。
私の旦那は科学雑誌に論文が載ったことも何度かありますが、雑誌に論文や名前が出たところで給料が上がるわけでもなく、インタビューに出たところで1円にもなりません。
研究機関に貢献してんのに・・・
1円にもならないんかよー!
「好きな研究をしているからいいでしょ?」と言われればそれまでですが、がんばりが正当に評価されていない気がして家族としてはなんだかやりきれない気持ちです。
旦那は高学歴、私はそこそこの学歴ですが、大学時代の友人や知人の生活と比べると圧倒的に貧しさを感じます。
そういえば、大学の頃の知り合いは皆金持ちになっとるなぁ!
今気づいたんかい・・💦
ウチラ、家も車も貯金もないんやでぇ・・
奇跡が起きて旦那がどこかの助教授にでもなれたら生活は一転しますが、ポスドク研究者の立場でいる以上、家族の生活はおそらく一生ビンボーなんだと思います。
お金が全てじゃないけど、、お金は本当に大事よ!
私はそんな生活ムリだわぁ・・
その4,子供がいる場合、状況はさらにフクザツ
- 子供のアイデンティティを保つことを意識する
- 日本語教育は当たり前+現地語教育もしっかりと行う
- 外国と日本の価値観やルールの違いを教える必要がある
- 教育にお金をかけることができない
新しい土地で仕事が始まったポスドク研究者は自分の仕事に手いっぱいになり、家族のことを考える余裕がなくなりがちです。
けれども子供にかかる負担は非常に大きいということを忘れてはなりません。
暮らしていた土地を離れ、大好きな友達とも別れ、知らない言語が飛び交う社会に入っていかなくてはならないのです。
外国では、言葉ができないことを理由に子供がいじめられたり友達の輪の中に入れないこともあります。
幼稚園に入れた時も「言葉ができないから」って理由で、先生やアシスタントに迷惑がられることも多かった・・
ひ・・残酷・・
親は、子供が現地の言葉を覚えられるようにフォローをしながらも、日本語教育も続けていく必要があります。
数年後には他の国に行くかもしれないという環境の中で現地の言葉を子供に学ばせるのは、親としても
モチベーションが上がりにくいという悩みもあります。
フランス語、覚えること多いし面倒くさいんだよねぇ・・
あの音も好きになれないし・・
ワシは職場、英語環境やからヨユーやで。
内輪の集まりはAllフランス語やから理解できんけどな🎵
けれど「今いる場所でベストを尽くす」という信念を持ってその国の言語、考え方を子供に教えていくしかないのです。
国が変わると考え方やモノの良し悪しも違うので
「どちらが正しい」ではなく
「色んな考え方がある」
ということを教えるようにしています。
学年が進むと日本の学校の勉強も並行して勉強させるのが大変そうだなぁ・・
その5,まだまだ出てくるポスドク家族海外生活のデメリット
デメリットばかりで、読んでいて疲れてきた人もいるかもしれませんが、もう少し追加させてください(笑)
ポスドクとして働く国がアメリカ・カナダ・イギリス、オーストリアといった英語圏であればバンザイです!
生活は貧しいとしても、英語力がそこそこあれば、基本の生活に苦労することはあまり無いでしょう。
子どもの将来を考えても英語圏で暮らすのは悪くは無さそうだよね!
一方で、非英語圏の国で暮らすことになると生活は大変です。
数年の滞在のために、新しい言語を学ぶというのはなかなかやる気が起きないものですが、子供がいる場合はそうも言ってられません💦
また、就職先の国や土地によっては外国人が少なかったり閉鎖的で人種差別が激しい場所もあります。
スーパーや市場で買い物に行った際に差別発言を言われたりモノを投げられたりした経験がある人もたくさんいます。
え・・ヒドイよそんなの!
相談する窓口も無いから、泣き寝入りするか、戦うかのどっちかだねぇ
そして、一旦日本を離れるとカンタンに帰国しにくいというデメリットもあります。
コロナ禍の今であれば、なおさらです。。
家族や友達と会えない寂しさや、日本食や日本の本を気軽に手に入れられない不便さも海外に暮らすデメリットです。
本やドリルは日本のAmazonで買ってるけど食料品は海外に送ってもらえんから不便やなぁ
また、海外にいると身内の不幸があってもカンタンに帰ることができず、人によっては鬱になってしまうこともあるようです。
旦那も私もフランスにいる間に親が亡くなったけど帰れなかったよ~。
暮らす国によって生活の大変さは異なりますが、とにかくイロイロとあります。
結論:海外でポスドクとして働くのは、夢はあるけど家族は大変
デメリットが多すぎたので、ここまで読んでくれている人はいないかもしれませんが、上に挙げたのはポスドク家族のリアルです。
海外での研究者暮らしは、ワクワク感もある
ここまで散々言いましたが、ポスドク研究者の家族として海外で生活するのはデメリットばかりではありません。
デメリットしか言ってないじゃんか~~💦
誰も知っている人がいない国で、まったく新しい生活を始めることができるのはワクワク感もあります。
色んな国に友達ができたり、様々な国の文化や芸術に触れることができるのは、海外生活ならではです。
また、現地の人と言葉が通じた瞬間や役所の手続きがうまくいった瞬間は、心の底からウレシイと思えます。
あと、荷物がちゃんと届いたときも感動!
・・ハイ?
そのため「海外で暮らしていてよかった」と思うこともたくさんあります。
今回は「デメリット」にフォーカスを当ててお伝えしていますがポスドク家族が海外で暮らすメリットももちろんあります。
明るい気持ちになりたい方はこちらの記事もぜひどうぞ。
ポスドク研究者家族の海外暮らしには覚悟が必要
研究者とその家族が「どんな国や地域でも楽しんで暮らそう」という気持ちを持っていれば、ポスドクという立場で海外暮らしを楽しむことはできます。
将来のことや子どもの教育、自分たちの生活の安定性など考えることも多く、日本の家族と助け合うことができないジレンマもありますが、そういった全てのマイナス面と将来への可能性というプラス面を天秤にかけた上でそれでも得るものがあると思った場合には海外に飛び立つと良いかもしれません。
つまり、失うものも多いという覚悟を決める必要があるってことか
ワシは覚悟も何もせずにここまで来たけどなぁ~
ホント、心臓に毛が生えてるタイプだよな・・
まとめ
研究者の旦那と海外で暮らしているというと「羨ましい」という声を聞くことが多いですが、実際の生活は楽しいことばかりではなく将来への不安や現地でのストレスなど、様々なマイナス面もあります。
未来への安定を求める人や親や兄弟との結びつきを大切にしたい人には海外で働くことはおススメできませんが、将来への夢や可能性を信じられる人たちであれば海外でポスドクとして働くのも良いでしょう。
一度きりの人生なので、後悔することが少ない人生を歩みたいものですね。
マジメにまとめたな・・(ビックリ)
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